歯周病はなぜ再発する?
治らないループを断ち切る原因療法とは
お役立ち情報
歯周病・歯肉炎
エス歯科グループの最前線で活躍する歯科医師たちが、日々の診療に懸ける想いや、歯科医療のリアルな現場について語る連載企画「ドクターコラム」。
患者様が生涯にわたってお口の健康を守り「人生100年時代」を最高の笑顔で楽しんでいただくために――。私たちが大切にしている医療への信念や、普段の診療の中ではなかなかお伝えしきれない「高度な治療を支える裏側」を、専門医の視点から定期的にお届けしていきます。
成人の多くが罹患し、歯を失う最大の原因とも言われる「歯周病」。
しかし「何度治療しても再発してしまう」「他院で抜歯するしかないと言われた」と悩む患者様は後を絶ちません。
今回は、横浜エス歯科クリニック院長の粟野先生に、再発のループを断ち切るための精密診断の重要性や、歯が溶けるメカニズム、噛み合わせを含めた原因療法の裏側について濃密なインタビューでたっぷりと語っていただきました。
目次
01.自然と生まれた「この仕事がしたい」という想い
02.歯周病の症状と「生涯の歯を残す」診療ポリシーについて
03.精密診断の重要性と、歯周病の再発・慢性化の実態
04.歯が溶けるメカニズムと、見落とされがちな「本当の原因」
05.エス歯科だからできる原因療法と、抜歯回避
06.信頼できる医院選びと、生涯の歯を守るための第一歩
自然と生まれた「この仕事がしたい」という想い
幼少期から歯科医療に触れてきた粟野医師。その原体験と、日々の診療で最も大切にしている自分の歯を残すためのアプローチ、保持するための基本的な考え方について伺いました。
患者様から感謝される父の姿を見て育った原体験
――幼少期はお父様のクリニックが遊び場だったとのことですが、当時の記憶に残っているエピソードを教えてください。
父が歯科医師をしており、実家の裏に入るとすぐ台所があるような、家と職場が繋がっている環境で育ちました。小さい頃は自分がなにか特別に職場にいるという意識はありませんでしたが、父が治療をして患者様に「ありがとう」と感謝されている姿を見て「いい雰囲気だな」と感じていた記憶があります。
患者様との良い関係性を間近で見て自発的に選んだ道
――そのような幼少期の環境は、ご自身が歯科医師を志す上でどのような影響を与えましたか?
父からは「歯医者になれ」とか「家を継げ」とは一言も言われませんでした。中学生・高校生と進路を考える中で、父と患者様の良い関係性を身近で見ていて「自分もこういう仕事をしていきたい」と自然に思うようになり、自発的にこの道を選びました。
歯周病の症状と「生涯の歯を残す」診療ポリシーについて
痛みがなく見過ごされやすい初期症状と骨が溶ける進行リスク
――ここからは歯周病ついてお聞きします。歯周病とは初期にどのような症状が現れ、進行すると最終的にどうなってしまうのでしょうか?
歯周病の初期症状は「歯茎から血が出る」「歯ブラシの時に出血する」といった程度で、痛みがほとんどありません。そのため、少し強く磨きすぎたかな?と見過ごされてしまうケースが非常に多いです。
しかし、そのまま放置してしまうと、歯茎の腫れだけでなく、歯を支えている骨にまで影響が出て溶け始めてしまいます。骨が溶けることで歯がグラグラ揺れて噛みづらくなり、ご自身で「これはまずいぞ」と気づけるようなところまで進行すると、後戻り出来ないことが多くなってしまいます。初期の自覚症状が出にくいからこそ、非常に怖い病気なのです。
噛み合わせや全身疾患まで視野に入れる「原因究明」の基本方針
――歯周病に対する粟野先生の基本的な治療方針をお聞かせください。
「なるべくご自身の歯を残し、自分の歯として使っていっていただきたい」というのが私の一番の想いです。
歯周病治療といえば単純に悪い菌がいるから起こる病気だと思われがちです。もちろんそれはそうなのですが、実際には噛み合わせのバランスが複雑に関連しており、糖尿病などの全身的な疾患にもつながることも最近の研究で多く分かっています。患者様一人ひとりで異なる「何が本当の原因になっているのか」をしっかり把握した上で、治療方針を立ててしていくことを最も大切にしています。
精密診断の重要性と、歯周病の再発・慢性化の実態
歯周病治療を成功に導く鍵は、最初の診断にあります。再発や慢性化の違い、精度高く見極めるアプローチ、そして治療向き合う患者様の複雑な心理に、歯科医師はどう寄り添っているのでしょうか。
原因という大元を特定しなければ、どれだけ治療しても治らない
――粟野先生が事前の精密診断を何よりも重要視されているのはなぜですか?
スタート地点である診断を間違えてしまうと、どれだけ長く治療を続けても治らないからです。
根本的な原因が噛み合わせにあるのに、診断を誤って違う方向へ治療を進め、歯石取りばかりを続けていても症状は改善しません。だからこそ、最初の検査で原因という大元を特定し、正しい方向性を導き出す精密診断が治療の一番の肝になると考えています。
細菌をゼロにすることは不可能だからこそ、定期的な通院が必要
――歯周病は一度治っても再発しやすいものなのでしょうか?現場の実感を教えてください。
結論から言うと、歯周病は確実に再発リスクが高い病気です。
なぜなら、歯周病の原因はお口の中の細菌であり、これを無菌状態にすることはできないからです。高血圧や糖尿病などの慢性疾患と同じように、うまく付き合いながら「安定した状態を推移させていく」ことが必要な病気です。数か月のスパンでメンテナンスに通っている方は安定していますが、通院が半年〜1年と途絶えてお口の環境が悪化すると、やはり再発率は上がってしまう実感があります。
患者様の心がけではどうにも出来ない部分もありますので、リスクを抑えるために定期的な通院は必要だと思います。
慢性化と再発の違い、および歯科医師による正しい完治診断
――再発と前回治りきっていなかった状態(慢性化)はどう違うのでしょうか?患者様が目安にされるための完治の基準もあれば教えてください。
慢性化とは、完全に治りきっていない状態がダラダラと続いてしまっていることを指します。一方で再発は、一度安定した状態から再び症状が出てしまうことです。
歯茎の出血が治まり、歯周ポケットが浅くなって骨の状態が安定したといったポイントを基準として完治の判断をしていますが、患者様ご自身で完治の判断をしていただくのは難しく、誤った判断を下される危険が伴いますので「良くなった」と思われても必ず歯科で診断を受けるようになさってください。
唾液量や噛み合わせなど、患者様の磨き方だけではない別の原因
――治療を続けていても再発してしまい、落ち込んでしまう患者様には、どうお声がけをしていますか?
歯周病が再発してしまうと「自分の磨き方が悪かったからだ」とご自身を責めてしまう患者様はやはりいらっしゃいます。
そうした方には「決してご自身のケア不足だけが原因とは限りませんよ」とお伝えしています。唾液の量が少ないことや、噛み合わせの強い負担など、歯ブラシだけではどうにもならない原因が隠れていることが多々あります。ご自身を責めるのではなく、私たちと一緒にその別の原因を解決していくようなご提案をできるようにしています。
歯が溶けるメカニズムと、見落とされがちな本当の原因
歯周病の原因は単なる汚れだけではありません。歯を支える骨が溶けていくプロセスと、そこに深く関わる噛み合わせの力、そして歯石の本当の恐ろしさについて解説します。
プラークの増殖を防ぐため、細菌の住みかである歯石を物理的に除去する
――歯周病の原因は細菌なのに、なぜ歯科医院は歯石取りを重視するのですか?
たしかに歯石そのものが直接の悪さをしているわけではありません。しかし、歯石は細菌の住みかになってしまうから、歯石取りは非常に重要です。
歯石がある場所に細菌がびっしりと集まって増殖するため、その住処を物理的に取り除くことで細菌の数を劇的に減らすことができます。だからこそ、歯石の除去が治療のベースとして不可欠なんです。
弱った骨に強い力が加わることで、溶けるスピードが加速するメカニズム
――汚れだけでなく噛み合わせの問題が歯周病の悪化や歯が溶けることにどう影響するのでしょうか?
破骨細胞というものが関係をしているんですが、簡単にいうと、歯周病が進行して歯を支える骨が弱くなっているところに、噛み合わせなどの強い力が集中的に加わると、骨が溶けていくスピードが一気に加速してしまうんです。
噛み合わせが根本原因で骨にダメージがいっているのに、歯石取りだけを繰り返していても、悪い力を取り除いてあげない限り、歯周病は治りません。
エス歯科だからできる原因療法と、抜歯回避
他院で抜歯と診断されても、まだ諦める必要はありません。エス歯科グループならではの多角的な原因療法アプローチと、実際の患者様とのエピソードをご紹介します。
矯正や補綴を駆使してお口全体の根本原因を解決する多角的なアプローチ
――再発を繰り返す患者様に対して、エス歯科ではどのような原因療法を行いますか?他院で抜歯と言われても回避できますか?
歯石取りだけで改善しない場合、当院では患者様の状態に合わせて、あらゆる治療を駆使して本当の原因を潰します。
例えば、歯並びや噛み合わせの力をコントロールするために矯正治療を行ったり、過去に装着した被せ物が原因であれば、新しく清潔なものにやり直す補綴(ほてつ)治療を行ったりします。
他院で抜歯と言われた歯でも、当院で原因を改めて診断しアプローチを変えれば、残せる可能性はもちろんあります。万が一、どうしても抜歯が必要な状況だったとしても、お口全体を総合的に治療することで、将来抜かなければいけなくなるかもしれない他の歯を残せるような状態へと導いていくことができます。
歯医者嫌いだった患者様がお口全体の治療を経て検診へ通うようになった軌跡
――これまでの歯周病治療で、特に印象に残っている患者様のエピソードを教えてください。
「30数年間、歯医者が大嫌いでずっと通えなかった」という患者様がいらっしゃいました。来院された時はすでに歯がグラグラで、残念ながら抜歯せざるを得ない歯もある大変な状態でした。
しかし、噛み合わせの影響が非常に大きかったため、矯正治療や被せ物の治療を含めたお口全体の治療をご提案し、治療をスタートしました。
結果的にご本人の意識が劇的に変わり、今では毎月ご夫婦で定期検診に通ってくださっています。こちらが驚くほどご自宅でのセルフケアも完璧にこなしてくれるようになり、患者様の前向きな変化を間近で見られたことは、歯科医師として本当に嬉しい経験でした。
信頼できる医院選びと、生涯の歯を守るための第一歩
人生100年時代、一生涯お口の健康を守るためには、どのような歯科医院を選び、どのようにケアをしていけば良いのでしょうか。粟野先生からのメッセージをお届けします。
事前の精密な検査を行い、原因と方針をじっくり説明してくれる歯医者選び
――「今度こそ本気で治したい」と考えたとき、信頼してよいクリニックの特徴を教えてください。
「いきなり治療を始めない、すぐに歯を削らない」クリニックをお勧めします。
まずはしっかりと事前の精密な検査を行い、その結果をもとに現在の状態、なぜ悪くなったのかという本当の原因、そして今後の具体的な治療方針を時間をかけてきちんと患者様に説明してくれる歯医者さんを選ぶことが何より大切です。
歯ブラシに補助清掃器具をプラスし、プロのメンテナンスと二人三脚で守る
――治療を終えた後、良い状態を維持するためのご自宅でのセルフケアでお願いしたいことはありますか?
毎日の丁寧な歯ブラシに加えて、フロスや歯間ブラシなどの補助清掃器具をできるだけ使っていただきたいです。
歯ブラシだけでは、どうしても歯と歯の間などの細かい汚れは落としきれません。どんなにお掃除が上手な方でもご自身だけのケアには限界がありますので、定期的にクリニックへ通っていただき、プロフェッショナルなメンテナンスと二人三脚で守っていくことが不可欠です。
諦めて一人で抱え込んでしまう前に、本当の原因を解決する選択肢を
――最後に、歯周病の再発に悩み、「もう抜歯するしかないのか」と諦めかけている方へ前向きなメッセージをお願いします。
「治らないな…」と悩みながら通院を続けている方もいらっしゃるかもしれませんが、一番大切なのは「自分の悪い状況の原因に対して、正しい治療が行われているかどうか」です。
他院で抜歯と言われてショックを受けている方も、正しい診断によってアプローチを変えれば、残せる可能性はもちろんあります。
エス歯科グループでは、その場しのぎではない本当の原因を解決するための選択肢を多数ご用意しています。一人で抱え込んで諦めてしまう前に、まずは私たちに現在のお悩みをご相談にいらしてください。一緒に生涯の歯を守る最善の方法を見つけていきましょう。






